先日、あるお二人のライブ配信を聞いていました。
その中で印象に残った話があります。
クレープを販売されている方が、
「うちで使っているチョコレートはフェアトレードの商品なんです」
と話されていました。
恥ずかしながら、私はその時までフェアトレードについて詳しく知りませんでした。
聞いたことはあるけれど、何となく「環境や社会に配慮した商品なのかな」という程度の認識です。
でも、その一言がなぜか気になり、後から調べてみることにしました。
すると、そこには単なる商品の話ではなく、「人の仕事や価値をどう考えるか」という、私自身の働き方にもつながる考え方がありました。
フェアトレードって何だろう?
フェアトレードとは、直訳すると「公正な貿易」。
発展途上国の生産者や労働者が、適正な価格で取引できるようにする仕組みです。
私たちが普段口にしているコーヒーやチョコレート、バナナなどの中には、生産者が十分な対価を得られないまま流通しているものもあります。
その結果、
貧困
児童労働
教育機会の不足
過酷な労働環境
といった問題が起こることがあります。
フェアトレードは、そうした課題を少しでも改善するために生まれた仕組みです。
生産者が生活できる価格を保証したり、地域の教育や医療に活用できる支援金を設けたりすることで、持続可能な生産を支えています。
「安いこと」は本当に良いことなのか
もちろん、安く買えることは消費者にとってありがたいことです。
私も家計を預かる立場として、価格を見ることはあります。
あ、今日はお惣菜半額!やったね!って(笑)
でも、フェアトレードについて知る中で、
「その安さは、誰かの犠牲の上に成り立っていないだろうか」
と考えるようになりました。
商品が店頭に並ぶまでには、誰かが育て、誰かが加工し、誰かが運び、誰かが販売しています。
私たちは完成した商品しか見えません。
けれど、その背景には多くの人の時間や技術、労力があります。
言語聴覚士の仕事にも通じるものがある
フェアトレードについて調べながら、私は自分の仕事を思い浮かべていました。
言語聴覚士の仕事は、形のある商品を作る仕事ではありません。
お子さんやご家族とお会いし、お話を聞き、実際にお子さんの滑舌やことばの発達などの評価を行い分析します。そして、訓練を組み立て、本人やご家族と向き合い続けます。
しかし、その過程はなかなか見えません。
だからこそ、
「30分遊んでただけ」
と思われてしまうこともあります。
でも、その時間の裏側には、何年もかけて学んできた知識や経験、技術があります。
それは私だけではありません。
保育士さんも、介護職の方も、看護師さんも、医師も、個人事業をされている方も同じだと思います。
目には見えないけれど、積み重ねてきた専門性があります。
病院の言語訓練は実際いくらなのか
ここで少し例をもとに考えてみたいと思います。
病院で行われる小児の言語訓練は、多くの場合保険診療として実施されています。
例えば60分の言語訓練の場合、診療報酬としては約7,350円相当になります。(診療報酬改定により変動あり)
さらに、
初診料
再診料
発達検査
知能検査
リハビリテーション総合計画書作成
などが加わることがあります。
初回評価では、病院全体として1万5千円〜2万円以上の医療サービスになることも珍しくありません。
保護者の方の負担は保険によって数百円から数千円程度になるため、
「病院の訓練は安い」
と感じるのも当然です。
でも実際には、保険制度によって社会全体で支えられている医療サービスなのです。
自費訓練は高いのだろうか
一方で、自費の言語訓練は保険が使えません。
料金だけを見ると、
「高っ!」
と感じる方もいるかもしれません。
しかし、自費サービスには、
評価
記録
教材準備
報告書作成
保護者相談
システム利用料
継続的な学習
などが含まれています。
病院では組織が担っている部分を、個人事業ではすべて自分で担っています。これはどちらが良い悪いという話ではありません。
ただ、見えている訓練時間だけで価値を判断することは難しいのだと思います。
専門性にも適正な価値がある
フェアトレードは、商品を適正な価格で取引するための仕組みです。
でも私はそれを知った時、「人と関わる仕事や専門性にも、フェアトレードの考え方が必要なのではないか」
と思いました。
安さだけを求めるのではなく、どんな人が、どんな想いで、どんな時間をかけて、その商品やサービスを生み出しているのか。
労力を考える。
じゃあ今の私たちができることは?
今日からフェアトレード商品を買わなければいけない、という話ではありません。
私自身もすべてをフェアトレード商品に変えなきゃ!とやってはいません。
うん。できない。
ただ、「これは誰が作ったのだろう」「このサービスにはどんな価値があるのだろう」そんなふうに想像してみることはできると思います。
見えない努力や時間に目を向ける。
それだけでも、物やサービスの見え方は少し変わるかもしれません。
おわりに
ライブ配信で聞いた「フェアトレードのチョコレート」という一言。
最初は何気ない話として聞いていました。
でも調べてみると、それは単なる貿易の話ではありませんでした。
私にとっては、
「人の時間や技術、専門性をどう評価するのか」
を考えるきっかけになりました。
これからも言語聴覚士として、そして一人の個人事業主として、自分の仕事の価値をきちんと伝えながら、誰かの仕事の価値も大切にできる人でありたいと思います。
あなたは最近、「安さ」ではなく「価値」で選んだものはありますか?
よかったらコメントで教えてください。




税金で医療費の一部が賄われている業界でフェアトレードはなかなか難しいと感じております。
ゆみさんにはその壁を壊すようなビジネスを展開して欲しいです✊
「専門性にも適正な価値やフェアトレードの考え方が必要ではないか」という問いかけが、非常に深く腑に落ちました。私たちは完成された商品や目の前の訓練時間といった分かりやすい部分だけで価値を判断してしまいがちですが、その背景にある人の時間や技術、想いを想像する心のゆとりが大切なのだと気づかされます。安さの裏にある仕組みに目を向け、誰かの仕事の価値をリスペクトしようとする実直な視座に、これからの働き方や生き方の本質を教わりました。