大丈夫!難しい。
今は行ける、無理しない。
分刻みの思考と判断の繰り返し。
急性期病院で働いていた頃、私はほぼ毎日このように判断を求められていました。
この方は全身状態が良くなるのと同時に経口摂取できるのか。
退院までに何が必要なのか。
今の言語症状は前と比べて改善しているのか。
限られた時間の中で情報を整理し、その時点で最善と思われる答えを出していく。
言語聴覚士として大切な力のひとつです。
一方で、最近の私は少し違います。
今は児童発達支援センターや放課後等デイサービス、そしてオンラインでの滑舌トレーニングを中心に活動しています。
すると、不思議なことに以前ほど「すぐに答えを出そう」としなくなりました。
例えば、ことばの発達が気になるお子さん。
初回でお会いしただけでは分からないことがたくさんあります。
その日の気分。
家庭での様子。
園や学校での姿。
興味のあること。
苦手なこと。
時間をかけて関わる中で見えてくるものがあります。
どこで笑うのか、何で振り向いてくれるのか。
訓練の中で1回でも笑ってくれたら、心の中でガッツポーズ(笑)
滑舌のご相談も同じで、発音だけを見ればいいわけではありません。
呼吸、姿勢、口の動き、声の出し方。
仕事や生活習慣。
その方がどんな場面で困っているのか。
背景を知るほど、「すぐに答えを出せない理由」が増えていきます。
以前の私は、早く正解を見つけようとしていた気がします。
でも今は、「もう少し見てみよう」「もう少し話を聞いてみよう」と思うことが増えました。
もちろん、急性期の現場で培った判断力は今でも大切にしています。
ただ、人は検査結果や評価項目だけでは語れません。
時間をかけて関わるからこそ見えてくるものがあります。
最近は、急いで答えを出さないことも専門性のひとつなのかもしれない。
そんなことを考えています。
立ち止まるとはまた違った速度ですごす。新たなステージに来たのかなという感じもします。
いい歳の取り方とともにいい仕事に出会えてるのかも。
こういう何気ないことや言語聴覚士を通じて見えた事を書いていきます。
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「急いで答えを出さないことも専門性のひとつかもしれない」という一文が、非常に深く静かに腑に落ちました。私たちは成果や効率を求めるあまり、つい検査結果などの分かりやすい正解を急いで出してしまいがちですが、本質は時間をかけてその人の背景や日常の姿に実直に馴染んでいくプロセスにあるのですね。急性期病院での「分刻みの思考と判断」を大切に携えながらも、立ち止まるとは異なる新たな速度で目の前の人と向き合う、その等身大で健やかな仕事の営み方に確かな本質を教わりました。